2021年1月から、センター試験が廃止されて、大学入学共通テスト(共通テスト)に変更になります。(変更点については「共通テストとセンター試験の違い」で解説しています)
英語科目の民間試験導入については様々な議論を呼んでいます。
そこで今回は、日本の最高学府である東京大学の民間試験の採用決定について解説していきます。
【追記】
2019年11月に民間試験の導入は見送られましたのでご注意ください(文科省発表)。
- 2021年一般入試の決定事項
- 東大が民間試験を採用した理由
- 今後どうなっていくのか
東大の英語民間試験への対応
2021年の東京大学一般入試での、英語の民間試験の扱いについては、既に正式発表しています。
結論としては、特別な場合を除いて、基本的には民間試験が出願に必要と言えます。
2021年度東京大学一般入試(2020年度実施)(つまり西暦2021年)においては、次の(1)~(3)のうちいずれか1つの書類を求める。
- 大学入試英語成績提供システムに認定された民間の英語試験の成績。ただしCEFRの対照表でA2レベル以上
- CEFRのA2レベル以上に相当する英語力を示す調査書や高校による証明書類
- 何らかの理由で(1)(2)の提出ができない場合、その事情を示した理由書
※いずれかの提出がない場合は出願を受理しない。ただし合否判定には使わない。
※「2021年度東京大学一般入試における出願要件の追加について」より
ポイントとしては
- 出願には、CEFRのA2レベル以上の英語力の証明が必要
- 合否判定には利用しない
- 東大にふさわしい英語力は二次試験で測定する
といったところです。
東大が求めるCEFRのA2レベルとは
大学入試センターは、複数の民間試験の結果をCEFRという国際基準を使って公平に評価することを推奨しています。CEFRについては「CEFRってなに?」で詳しく解説しています。
CEFRは6段階評価の基準ですが、東大は下から2番目のA2レベルを求めており、それほど難しくはありません。
民間試験で足切りをして、二次試験で東大にふさわしいかどうかを決める方針のようです。
- 英検だと準2級レベル
- 身近な事に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。
- 簡単で日常的な範囲なら、直接的な情報交換に応じられる。
なぜこのような決定になったのか
東大は「国際的な広い視野と外国語によるコミュニケーション能力」を入学志願者に求めています。
文部科学省が、共通テストに英語の民間試験を導入する理由は、学生の英語を「話す」能力を伸ばすためです。
東大としては、入試で「話す」能力を民間試験で測定することは理にかなっているとして、民間試験を出願条件に加えました。
※民間試験の不公平生や、学生への負担を配慮し、「民間試験の成績提出を出願資格として全受験生に求めることはできない」と考え、英語能力の証明書などの提出を受け入れると東大は説明しています。
今後の流れ
今回説明した東大の民間試験の採用は、2021年に実施される一般入試に限った決定です。
この決定の中では次のようなことも記載されています。
東大ではライティングとプレゼンを中心とした英語の授業「ALESS」や「ALESA」、スピーキングの必修授業「FLOW」を設けています。また、海外研修プログラムの多くではCEFRのB1、B2レベル以上の英語力を要求するものが多くなっています。
今後はさらに検討を重ねて、入試について決定していきます。
2021年は大学入試制度が大きく変わるため、トラブルを避けるためにも、今回のような優しい決定となったという印象です。
年度を重ね、入試の変更が浸透してくると、民間試験の重要性は増えていくと考えられます。
- 受験資格のCEFRレベルの引き上げ
- CEFRのレベルで足切り
- 高いCEFRレベルは加点
- 高いCEFRの場合、二次試験の英語を免除
東大は、2019年の7月に、2022年の一般入試の出願要件を発表する予定です。
今後の展開に注目していきましょう。